出産予定日より6日過ぎた、8月17日にスイスにて元気な男の子を出産しました。
日本へ一時帰国しての里帰り出産も考えましたが、飛行機での移動や夫の仕事、こちらでの保険が適用されることを考慮した上で、現在住んでいるスイス・バーゼルにて出産することを決めました。
初産なので日本の出産と比べることはできませんが、海外での一つの出産レポートとして参考にしていただけたらと思います。
兆候から本陣痛まで
兆候の有名なサインとして、おしるし・陣痛・破水等が挙げられますが、私の場合は”おしるし”で出産が近づいていることに気づきました。
激しい胎動
<8月15日 0:00>
出産の2日前。
0時を回った頃、何度か激しい胎動を感じる。
普段から胎動は多めで、臨月に入ってからも変わらずに胎動を感じ続けていた。
足の付け根?お尻あたりにピキッという激痛が数回走る。
おしるし
<8月15日 7:25>
おしるしを確認。
おしるしから数時間〜数日で陣痛が来るとのことで、なんとなく心構え。
(心構えはしたものの、その日は何もアクションなく1日を終える。)
→23:00 主に腰に、生理痛のような痛みを感じる。
陣痛のような痛み
<8月16日 早朝>
子宮の下の方をぎゅーっと握り潰されているような痛みが数回。
それによって早朝に何度も目が覚める。
その日はその痛みが数回あり、これが陣痛?と疑いながら、ゆっくりと過ごす。
なんだか痛みが増えてることに気付きながらも、前駆陣痛と本陣痛の見分けがつかず、痛みを感じた時にはアプリで陣痛の間隔を測っていました。(アプリは、ninaruの「陣痛・胎動カウンター」を利用)
自宅で入浴
<8月16日 夜>
夜には久々にバスタブに浸かることに。
助産師さんに勧められたラベンダーの入浴剤と共に、リラックスしながら入浴をしました。
この日はKneipp(クナイプ)のラベンダー。泡ができるタイプの入浴剤です。
泡風呂は、
- きめ細かい泡が体の汚れの細部のを落としてくれる
- 泡が蓋の代わりとなり、保温効果がある
等の効果があるのでおすすめです!
お風呂から上がっても陣痛のような痛みは取れず、気付いたら10分くらいの間隔に。しかし、15分だったり5分だったりとまだ曖昧な感じで、前駆陣痛なのか本陣痛なのか分からずにいました。
バーゼルの病院へ電話
<8月16日 21:30>
そしてお腹が痛いながらも呑気に夕飯を食べていると5-8分の間隔に。
いよいよ、これが本陣痛かも?と気付き始めてここで初めて病院へ電話。
電話は夫に任せようとしましたが、本人でないとダメとのことで直接話すことに。
陣痛の間隔を1日ずっと測っていて(アプリ)、5-8分になっている旨を伝えたところ、
お風呂入ったあとは、陣痛を感じやすいから、今日は家で寝ることに集中して、ゲームしたりお散歩したりして気を紛らわしてね!
と助産師さんからの返答。
この時、子宮を握り潰されている感じ、ノロの時の腹痛くらいの痛さ。
今日は家で眠る!?陣痛って10分間隔になったら病院へ向かうんじゃないの?!と、意外な返答に驚きながら、逃げ場のない痛みと闘う…。
とにかく痛くて不安で、眠れなさそうなのですが、どうしたらいいですか
と訴えるものの、
あなたは話せているから大丈夫。陣痛だったら話せないくらい痛いし、あなたの息遣いも正常よ!
というスパルタ加減。
自分では病院に行くタイミングが分からないので、痛みが強いことをもう一度訴えてみる。
でも、本当に痛いんです!!
この電話の最中に陣痛来た?あなたは話せてたでしょ?
と言った具合。
痛くても、伝えるために一生懸命話しているんだよ。。(T_T)
と、伝わらないことに苛立ちを感じ始めました。
そのあとも私は元気だと、頑なに受け入れてくれないため、とりあえず電話を切ってそこから1時間半様子を見ることに。(我慢せずに、もっと痛いことを表現すべきだったかな…と後悔。)
1時間半経っても痛みは変わらず、とにかく診てもらいたいという一心で、独断で産院へ向かうことに決める。
何が正解かわからない
病院についてから分娩まで
子宮口5cm
<8月16日 23:30>
産院に着くと、電話に出た助産師さんが出てきて、
来るときに電話してくれないと困るよ〜!まぁいいわ。こちらのお部屋へどうぞ
と、分娩室に案内される。
電話したけど受け入れてくれなかったじゃん…(心の声)
不安と痛みと共に分娩ルームで待っていると、天使のような助産師さんにバトンタッチ。
早速チェックをしてもらうと、子宮口が5cm開いている。
今来ておいてよかったね!ベストタイミングだよ!
手遅れにならずによかった…
左腕に点滴を刺される。
そこからは陣痛の間隔が短くなっていって、どんどん痛みが増していく。私の場合は叫ぶということはなく、唸る感じの痛さ。
徐々に余裕もなくなってきて、言われた通りに呼吸をするので精一杯。
深く鼻から吸って〜深く口から吐いて〜を繰り返し。助産師さんと夫も一緒に呼吸を合わせてくれる。
夫がずっと寄り添って呼吸を一緒にやってくれていたのだけれど、吐く息が顔の近くに来て酸素が薄くなっているような気がして、「お願いだから私に向かって吐かないでくれ!」と必死に訴えた記憶。。(ごめんね夫くん。)
破水
助産師さんは部屋を出たり入ったりで、ほとんど夫と2人の空間なことにびっくり。
飲み物をちょこちょこ飲むように指示されていて、持参した「お〜いお茶」と軟水を陣痛の合間に飲む。産院では硬水の用意がありますが、慣れ親しんだ味が1番ですね。
破水を行うとのことで、助産師さんが凸凹のついたゴム手袋を見せてくれる。イメージとしては指サックのようなもの。こんな簡単なもので破水できることに驚き。
そしてそのまま助産師さんが破水をしてくれて、パチンッ!という感覚を感じる。痛みは全くなく、何だか不思議な感覚。
無痛分娩の麻酔
無痛分娩を希望していたのですが、一向に声がかからないので尋ねてみることに。
麻酔っていつ打つんですか?
いつでも良いよ〜好きなタイミングで言ってね!いつでもできるから。もしくは、バスタブに浸かると、痛みが軽減されるけどどうする?
とのことで、まだ耐えられそうだったのでバスタブに浸かることに。
バスタブの準備を待っているうちに痛みが頂点に達し始め、お湯に浸かるのは断念して麻酔を打ってもらうことに。
みません、もう痛いの耐えられないので麻酔を打って欲しいのですが…
わかった!麻酔の準備お願いしてくるね!
10分くらい経って戻ってきた助産師さん。
ごめんね、隣の部屋の人が子宮口9cm開いてて、先にそっちの人に打つね!ちょっと待ってて
10分がとても長く感じたけれど、その後の待ち時間(30分くらい?)は永遠のように感じた。笑
やっと準備が整って麻酔科の先生と助手の方々が登場。
そしてこちらも子宮口は8-9cm開いてるとのこと。進みが早い。
思い返すと、子宮口が4cm開いた時点で麻酔を打てると言われていたけれど、ギリギリまで耐えることとなった。4cm開いたら打てると言うのを忘れていたことと、もう少し耐えられるなって言う謎の忍耐力を発揮。
<8月17日 3:30>
麻酔科の先生がやってきて、軽く説明をしてもらったけれど、陣痛が痛くて余裕がないのとあまり記憶がない。。信頼して流れに任せて麻酔を打ってもらうことに。
麻酔は下半身の麻酔で、背中に細い管を通すのですが、陣痛の痛みで背中の(麻酔を打つ)痛みは皆無。管を通すことに対しての恐怖心があったため、ある意味良かったのかもしれない。。
麻酔を打ってもらってしばらくすると、今までの痛みが嘘かのようにスッとなくなっていく。やっと笑顔で夫と話せて、写真まで撮ってみたり。家族や友達にも連絡を返せたりと、この時はかなりの余裕を見せていました。
そして相変わらず夫と2人空間。笑
助産師さんたちは一体どこへいってしまったのだろうか…。
麻酔は数十分毎に自動的に追加される仕組みになっているそうですが、
麻酔が足りなくなったらこのボタンを押すとさらに追加されるよ!
とのこと。しかし、痛くなっても、どのくらいのタイミングで押していいのかわからず(効きすぎるのも良くないな〜と考えながら)、夫と2人空間なので助産師さんに聞くこともできずにボタンを押すタイミングは逃す一方でした。
子宮口全開(10cm)
<8月17日 4:20>
子宮口が全開(10cm)になったので、あとは陣痛の間隔が縮まるのを待つのみ。
麻酔を打つと陣痛が促進されづらいとのことで、とりあえずは5:00過ぎまで陣痛促進剤を打たずに待機。
…5時を過ぎても誰も来ない。笑
<8月17日 5:30>
陣痛がよく進んでいると褒められる。
陣痛促進剤を投与せずに陣痛が促進してくれた。最後の最後でほんの少しだけ促進剤を投与してラストスパートへ。
麻酔を打ったのが少し遅かったせいと、頭がかなり下がってきていて、右側の麻酔がききづらくて右半身が痛い。(右側だけ陣痛を感じる)
この時、左側を下にして寝転んでいるため、麻酔が左側に溜まってしまうのも右側が効きづらい原因の一つらしい。
いよいよ分娩
陣痛の間隔が縮まってきたので、いよいよいきみ始める。
陣痛の波と共にいきむのですが、とにかく物凄い疲れる!
まるで長距離走をしているかのよう。ゼーゼーハーハー。
陣痛のほんの少しの合間に息を整える。(整えきれない)
麻酔のおかげで陣痛の痛みがほぼなく、いきむことに全力で集中。(麻酔はガッツリ効いているのではなく、陣痛が来たことは微かに感じることができる。)
陣痛がきたら教えて!と、助産師さん。
この時点でこの部屋にいるのは私と夫と助産師さん。
医師や助産師さんたちが複数人集まり、出産が行われることをイメージしていたので、このアットホームな空間にびっくり。和やかで、まるで家にいるかのような雰囲気。
ちなみにこの時の格好はチューブトップ一枚。
頭が出てきたよ!沢山髪の毛がある〜!触ってみる??
とのことで、頭を触る私と夫。本当に、すぐそこまで我が子が来ているんだと、何だか不思議な感覚。
いきみ出してからが長かったけれど、助産師さんは
very good! really well!
とひたすらに褒め続けてくれる。この助産師さんに何度救われたか分からない。
最後の最後で初めましてなお医者さん登場(今更w)。
一緒に盛り上げてくれる。
10分くらいでスルッと出てくると思っていた私は、お医者さんの腕時計を見ながら、意外と時間がかかるもだな〜と感じていた。
とにかく必死でいきむ。
頭は出てきているのに、胎動は続く元気な赤ちゃん。
<8月17日 7:07>
ついに息子が誕生!!
ドゥルン!と出てきた感覚がわかり、待ちに待ったご対面。
生まれてきてそのまま素肌に抱き寄せる、カンガルーケアをさせてもらう。もっと血だらけなイメージをしてたらそんなことは全くなく綺麗。なんだか温くてヌルッとした感触。
息子を抱き寄せた瞬間、可愛くて可愛くて愛おしくて涙が出た。。夫も感動して涙。。ずっと心待ちにしていたこの瞬間。頑張って生まれてきてくれてありがとう。
夫がへその緒をカット。意外と硬くてびっくりしたと言う感想でした。
そのまま授乳してみて!と、初めてのことだけど、形だけ行ってみる。
そうこうしながら、もう一度いきんで!と言われていきむと、胎盤も出てきて無事出産完了。
どのタイミングか忘れましたが、胎盤見たい?と聞かれ、夫と一緒に胎盤を見ることに。胎盤を見る機会なんて、人生で数えるくらいあるかないかなので、最後まで貴重な経験をさせてもらいました。
感想としては、”こんなものが自分のお腹に入っていたんだ!そして思ったよりもグロくない!”
そのあとは裂けた部分を縫ってもらいました・・。(麻酔が効いているので痛みはなし)
出産後
産後初めての朝食
気付いたら陽が登って朝に。
疲れ切った私に、
コーラ飲む?朝食食べる?
ここに来てコーラなんだとびっくり。どうやら、出産後の私には糖分が必要らしい。コーラはあまり好みじゃないけれど、疲れ切った体に冷えたコーラはなんだか美味しく感じました。
朝食の間は夫がカンガルーケア。母親だけではなく、父親ともカンガルーケアを行っているのはとても良い。
そして出てきた朝食がこちら。
し・・質素・・。www
美味しくいただきましたが、日本ではないと言うのを痛感した瞬間でした。
生まれた瞬間から育児がスタート
朝食を終えると、歩けるか聞かれ、気は確かなので立ち上がってみることに。
床に足を着いて立とうとすると、見事に立てない。そして物凄い目眩に襲われる。
麻酔が切れるまで6時間程度かかるとのことで、ベットを持ってきてもらってベットのまま滞在する部屋まで運んでもらう。
この時、赤ちゃんとはカンガルーケアのまま一緒に運ばれる。
出産後に赤ちゃんを洗ったりしないことにびっくりなことと、体重身長測った&夫のカンガルーケア以外は、私の胸の上でずっと一緒。
この時の格好は、チューブトップに網パンツです。笑
チューブトップの中に息子を入れて、顔を出している状態。
部屋に運ばれると、特に何の指示もなく、部屋に私と夫と赤ちゃんだけ。何をしたらいいか分からないながらに、早速の育児がスタート。
「母乳あげてね!出なくても大丈夫だから、片乳15分ずつ。」と、とにかくどうしたらいいか分からないけれど、イメージのままあげてみたりしていました。
夜に陣痛が始まって朝に出産。そのあとは産院の方が面倒を見てくれて少し寝たり休めるのかと思ったら、そんなに甘くはなかったです。
眠い目を擦りながらも、可愛い我が子にメロメロになりながら1日を終えました。眠る時も、赤ちゃんは私の胸の上で眠ります。
スイスでの出産を終えて
1番の感想は、「こんなにアットホームな感じな出産になるとは想像していなかった!」
ほとんどが夫と2人の時間、分娩は助産師さんが進めてくれる。もっとシリアスな雰囲気を想像していたので、心地の良いお産となりました。また、夫がいてくれたおかげで終始安心して挑めました。感謝でいっぱいです。
出産前に、”無痛分娩は全く痛みを感じない”と勘違いしていましたが、陣痛はとても痛い!!
しかし、その先の痛みはかなり軽減されるので、自然分娩された方には頭が上がりません。あの痛みを超える痛みを経験していることは本当にすごい。。
スイスでは通う婦人科と産院が別なことが多く、出産の多くは総合病院のような大きな病院です。突然全く知らない先生や助産師さんにお世話になりますが、ベテラン揃いなので安心して任せられます。
今回出産した病院は、スイス・バーゼルにある「Bethesda Spital」。ドイツ語が話せない私ですが、皆さん英語が話せるため、言葉の壁は問題ありませんでした。
人生においてかけがえのない経験を与えてくれた息子と素晴らしい時間を共有した夫。これからの家族での生活を楽しみに過ごして行きたいと思います。